慣れない国で体調を崩すだけでも不安なのに、受診の仕組みが分からないとなおさら心細いものです。でも安心してください。東京で医者にかかるのは、思っているより早く、費用も抑えめなことが多く、近所の小さなクリニックなら予約なしで行けるのが普通です。風邪・発熱・のどの痛み・発疹といった日常の不調は、大きな病院ではなく町のクリニック(クリニック/医院)で対応します。この記事では受診当日に実際に起きることを順を追って案内し、だいたいの流れがつかめるようにします。あくまで流れの案内であり、医療上の助言ではなく、医師や薬剤師に相談する代わりにはなりません。
クリニックか病院か——どこへ行く
- クリニック(クリニック/医院/診療所):日常の不調や軽いけがの最初の窓口。小規模で地域に根ざし、医師ひとりのことも多く、たいてい予約不要。診療時間内にそのまま入れます。
- 病院(病院):重い症状、専門的な診療、クリニックからの紹介が必要なときに。大きな病院は「紹介状」を求めることが多く、無い場合は追加の費用がかかることがあります。
- 診療科は看板で:内科(風邪・発熱・胃腸など何でも)、耳鼻咽喉科、皮膚科、歯科、眼科、整形外科(骨や関節)。
- 緊急時(胸の痛み、大量出血、呼吸困難)は 119 で救急車を。この記事は緊急でない日常の受診向けです。 119番で救急車を呼ぶこと自体は日本では無料です(搬送に料金はかかりません。病院での診療費は通常どおり請求されます)。
行く前に、診療時間と休診日を確認しましょう。多くのクリニックは昼休みで一度閉まり(だいたい12:30〜15:00ごろのことが多い)、水曜や日曜が休診のところも少なくありません(土曜は午前のみが多い)。さらに、初診(はじめての受診)の受付は表示の終了時刻よりかなり早く締め切られることがよくあります。終わりぎわに飛び込むより、事前に電話で確認し、早めに着くのが安心です。
持っていくもの
- 健康保険証——いちばん大切なものです。これがあれば原則として自己負担分(成人は通常3割)だけで済みますが、無いと窓口で全額を求められることがあります。
- 2024年末以降、日本ではマイナンバーカードを保険証として使う「マイナ保険証」への移行が進んでいます。利用する場合はカードと暗証番号を。移行期には別途、紙の資格確認書が出ることもあるので、加入先から何を受け取ったか確認しましょう。
- 現金とカード。今も現金を好むクリニックは多く、クレジットカードが使えないところもあります。
- 今飲んでいる薬、または薬の箱の写真。お薬手帳があれば一緒に。
- 在留カード。日本語が不安なら、症状を書いたメモ(スマホのメモでも可)があると助かります。
受診の流れ、ステップごとに
- 1受付:保険証を出します。初診では問診票を記入——氏名、症状、アレルギー、服用中の薬など。言葉に詰まったら体の部位を指さしてもOK。
- 2待つ:番号札を取るか席に着いて呼ばれるのを待ちます。来院順のクリニックは午前中が混みがち。待ち時間をネットで確認できるところも。
- 3診察:医師が症状を尋ね、診察します。短く要点を絞った診察になりがちです。分からなければ遠慮なく、書いてもらうか翻訳ツールを使いましょう。
- 4会計:帰りに窓口で支払います。保険があれば、ふつうの受診ならそれほど高くないことが多いです。領収書は保管を。
- 5処方箋:薬が出る場合、受け取るのは薬そのものではなく処方箋という紙です。これを薬局に持って行きます。
- 6薬局:どこの調剤薬局でもOK——多くは隣にあり「処方箋受付」と書かれています。処方箋とお薬手帳を渡すと、薬を用意し飲み方を説明してくれます。処方箋には有効期限(数日)があるので、早めに。
国民健康保険(国保)や勤務先の健康保険に加入していれば、保険証で軽減された自己負担割合が適用されます。加入資格・手続き・保険料は、お住まいの区役所・市役所が扱います。条件は状況によって変わるため、加入手続きについては友人の経験をそのまま当てにせず、お住まいの区役所・市役所か下記の公式情報でご確認ください。
医療費が高額になりそうなときに知っておきたいこと:日本の高額療養費制度では、ひと月の自己負担額に上限が設けられており、上限を超えた分はあとから払い戻されます。さらに、加入先(保険者)に事前に申請して「限度額適用認定証」を交付してもらい、窓口で提示すれば、支払い額をその月の上限までにとどめられます。上限額や申請方法は加入している保険や所得によって変わるため、自分の場合どうなるかは加入先の保険者やお住まいの区役所・市役所にご確認ください(マイナ保険証を使う場合は、この認定証の事前申請が不要なことが多いです)。
役立つひとこと(日本語)
- 診てもらいたいです。(I'd like to see a doctor.)
- 熱があります/咳が出ます/お腹が痛いです。
- いつから?——三日前くらいからです。
- 英語が話せる先生はいますか?
- …にアレルギーがあります。
- 書いてもらえますか?
新しく来た人がやりがちな失敗
- 保険証を忘れる——全額を支払い、後から払い戻しを申請することに。写真を控えに持っておくと安心ですが、現物がいちばんです。
- 風邪でいきなり大病院へ。地域のクリニックの方が早くて安く、紹介状なしの追加費用もかかりません。
- 処方箋を薬だと思い込む。薬局に行く必要があり、しかも期限が切れる前に早めに。
- 誰でも英語が通じると考える。多くのクリニックでは通じません。事前に言語対応を確認するか翻訳ツールを。
- アレルギーや服用中の薬を伝えない。問診票でも薬剤師にも必ず申告を。
- 予約は必要ですか?
- 小さな地域クリニックなら通常は不要で、診療時間内にそのまま行けます。専門医や病院は予約や紹介状を求めることが多いので、行く前に確認すると安心です。
- 外国語で診���もらえるクリニックはどう探しますか?
- 東京都の医療情報サイトでは、言語や診療科でクリニックを検索できます。外国語対応の医療機関を案内する電話窓口もあります。下記のリンクをご覧ください。
- クリニックに自分の言語を話せる人がいなかったら?
- 多くの施設は電話通訳サービスにつなげます。事前に多言語の医療情報窓口に電話して、合うクリニックを探してもらうこともできます。症状を書いた一覧を持参すると、やり取りがぐっと楽になります。 AMDA国際医療情報センターは、無料の多言語医療情報電話相談と、無料の遠隔医療通訳(電話・ビデオ、複数言語に対応)を行っています。詳しくは下記のリンクをご覧ください。
関連ガイド