贈り物とおもてなし:日本のもてなし文化へのやさしい入門
新しく来た方へのやさしいガイド。日本の贈り物文化を紹介します。お土産、手土産、夏と冬の贈答シーズン、包装の心づかい、そして上品な贈り方・受け取り方まで。
新しく来た方へのやさしいガイド。日本の贈り物文化を紹介します。お土産、手土産、夏と冬の贈答シーズン、包装の心づかい、そして上品な贈り方・受け取り方まで。
東京で少しずつ「ここが我が家」と感じられるようになる、いちばんやさしい方法のひとつが「贈り物」です。日本の人付き合いは、小さくて心のこもった気づかいで成り立っています。そのいくつかを知るだけで、ご近所さん、同僚、お招きしてくれた方との日々の関係が、ぐっと温かくなります。うれしいことに、新しく来た方に完璧さは求められません。値段が張らなくても、ひと言そえて差し出す小さな贈り物は、とても気持ちよく伝わります。大切なのは値札よりも、その奥にある心です。
毎日の暮らしでよく登場するのが、この二つです。お土産(おみやげ)は旅行から持ち帰る記念の品で、たいていは個包装された地元のお菓子やスイーツの箱。同僚や友人、家族と分け合います。手土産(てみやげ)は、どなたかのお宅を訪ねるときに持っていく小さな品で、招いてくれたことへのささやかな感謝です。どちらも高価である必要はありません。地元らしくて、見た目もよく、分けやすいものがちょうどよいでしょう。
一年に二度、感謝している方へ少しあらたまった贈り物を届ける習慣があります。上司、恩師、親族、いつもお世話になっている方などです。お中元(おちゅうげん)は夏の贈り物で、主に七月に。お歳暮(おせいぼ)は年末の贈り物で、十二月に贈ります。どちらも、ここ数か月のご厚意や助けへの「ありがとう」を伝えるものです。百貨店はこの時期に特設コーナーを設け、配送も手配してくれるので、多くの人はこうして贈ります。新しく来た方が必ず参加しなければならないわけではありませんが、どなたかから贈り物が届いたとき、その心づかいに気づけると安心です。
日本では、贈り物の「包み方」もまた贈り物の一部です。包むことは心づかいを表し、その品を「特別なもの」として印づけます。ただの実用的な外装ではないのです。風呂敷や水引といった伝統の技を身につける必要はありません。贈り物だとお店に伝えれば、きれいに包んでくれます。ていねいに整えられた見せ方そのものが、受け取る方への敬意を表しています。
「どう渡すか」は「何を渡すか」と同じくらい大切です。贈り物を差し出すときも受け取るときも、��手を使い、ひかえめなひと言をそえましょう。軽くつつましい言葉は、たとえ素敵な品でも、習わしとしてよく使われます。定番は、渡しながら言う「つまらないものですが」という言葉です。受け取る側がそっと礼儀正しくひと呼吸おいてから受け取るのも、ごく自然なことです。これらは試験ではなく、日本のおもてなしに流れる思いやりのリズムにすぎません。